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G-AIR

Global Association of Informatized Society Building Researchers:G-AIR(ジーエアー)
(世界情報社会構築学研究者協会)

(Global Society of Studies of Informatized Society Building:G-AIR)
(世界情報社会構築学会事務局)

1. 問題意識

21世紀の今日、我々は、第3新近代(The Third Modernization)と呼ばれる全く新しい時代を生きております。第1近代(The First Modernization)は、基本的にヨーロッパ人の国民国家だけが近代化を進める時代、第2近代(The Second Modernization)は、ヨーロッパ人の国民国家に加えて少数の「優等生」発展途上国(主に、アジア諸国)だけが近代化を進める時代であったのに対して、第3新近代(The Third Modernization)では、人種、宗教、その他様々な制約関係なく、地球上の全ての国民国家が猛然と近代化を推進する時代です。現在、地球上で近代化を推進していない社会は、事実上見当たらなくなりつつあります。
ここで考慮しなければならないのは、近代化(Modernization)の意味です。
20世紀においては、近代化とは、産業化(Industrialization)を意味しました。一方21世紀の今日では、近代化とは、産業化(Industrialization)と同時に情報化(Informatization)をも意味します。すなわち第3新近代(The Third Modernization)とは、地球上全ての地域において、情報社会構築(Informatized Society Building)が急速に推進される時代なのです。
情報社会構築(Informatized Society Building)は、先進国と発展途上国とではその進め方が大きく異なることになります。先進国は、近代化の長い歴史の中で、国家化(Nation States Building)、産業化(Industrialization)という過程を経ており、情報化(Informatization)は、その流れを更に発展させるものとして推進することになります。一方発展途上国の多くは、やっと国家化(Nation States Building)にめどを立てつつあるところであり、産業化(Industrialization)と情報化(Informatization)を同時に進めなくてはなりません。産業社会構築(Industrialized Society Building)と情報社会構築(Informatized Society Building)を同時に推進するということであり、これは先進国の人間が直面することのない、大変に困難な課題となります。

2. 経緯

ERISEは、このような問題意識の下、2017年度より、アジア/アフリカの諸大学、政府関係機関等との間で共同研究を推進し、また共催セミナー等を開催し、発展途上国における情報社会構築(Informatized Society Building)に関する方法論の研究を推進してきました。
各年度におけるアジア/アフリカにおける共催セミナー等の開催状況は、以下の通りです。

2017年度は、統一テーマを「Developmental Strategies coping with the Middle Income Traps」と設定し、以下で共催セミナー等を実施しました。
  • ① キルギス国立工科大学(Kyrgyz State Technical University)(Bishkek,2017年9月26日)
  • ② カラバルタ技術経済カレッジ(Kara-Balta Technical-Economical College)(kara-Balta,2017年9月26日)
  • ③ キルギス教育科学省専門教育局長(Ministry of Education and Science, Government of Kyrgyz Republic)(Chontoev Dogdurbek Toktosartovich, Director-General, Professional Education Bureau)(Bishkek,2017年9月27日)
  • ④ H.E. Rosa Otonbaeva前大統領との会談(Meeting with H.E. Rosa Otonbaeva, the Former President of Kyrgyz Republic)(Bishkek,2017年9月27日)
  • ⑤ Kyrgyz International Business Committee(Bishkek,2017年9月28日)
  • ⑥ EBRD(European Bank for Reconstruction and Development)キルギス事務所( Representative office in Kyrgyz)(Bishkek,2017年9月28日)
  • ⑦ キルギス大統領府投資委員会(Investment Committee, President Secretariat of Kyrgyz Republic)(Bishkek,2017年9月30日)
  • ⑧ UNDPカザフスタン事務所(Astana(Nur-Sultan),2017年10月2日)
  • ⑨ カザフスタン商工会議所(Astana (Nur-Sultan)),2017年10月2日)
  • ⑩ カザフスタン教育科学省高等教育局(Director-General, Higher Education Bureau, Ministry of Education and Science, Government of Republic of Kazakhstan)((Gulzat Kobenovaカザフスタン教育科学省高等教育局長)(Astana (Nur-Sultan)アスタナ(現ヌルスルタン),2017年10月2日)
  • ⑪ National Almaty Electric College(国立アルマトイ電力・電子技術テクニカル・カレッジ)(Almaty,2017年10月3日)
  • ⑫ Almaty University of Power Engineering and Telecommunications(アルマトイ電力通信技術大学)(Almaty,2017年10月3日)
  • ⑬ タマサート大学経営学部((Department of Management, Thammasat University)(Bangkok、2017年11月27日)
  • ⑭ タイ中小企業庁(Small and Medium Enterprises Agency, Government of Thailand (OSMEP))(H.E. Suwanchai Lohawatanakul, Director-General)(Bangkok、2017年11月27日)
  • ⑮ 泰日工業大学(Thai-nichi Institute of Industry(Bangkok、2017年11月28日)
  • ⑯ ハノイ経営工科大学(Hanoi University of Business and Technology(HUBT)経営研究所(INBUS)(Hanoi、2017年11月30日)
  • ⑰ ベトナム国家経済研究所(Vietnam Institute of Economics)(Hanoi、2017年11月30日)
  • ⑱ カンボジア工業手工芸品省(Ministry of Industry and Handicraft, Government of Cambodia)(Phnom Penh、2017年12月10日)
  • ⑲ カンボジア工科大学(Institute of Technology, Cambodia)(Phnom Penh、2017年12月11日)
  • ⑳ カンボジア首相府Son Koun Thor大臣及びカンボジア産業界代表とのワークショップ(Workshop with H.E, Son Koun Thor, Minister attached to Prime Minister, Government of Cambodia(Phnom Penh、2017年12月12日)
  • ㉑カンボジアICT Federation(Phnom Penh、2017年12月12日)
  • ㉒バンドン工科大学(Institut Teknologi Bandung)(Bandung、2018年3月5日)
  • ㉓ダルマプルサダ大学(Universitas Darma Persada)(Jakarta、2018年3月9日)
2018年度は統一テーマを「Disruptive Social Changes on Blockchain」と設定し、以下で共催セミナー等を実施しました。
  • ① ベトナム中小企業基金(Vietnam SME Development Fund)(Hanoi、2018年10月9日)
  • ② ハノイ経営工科大学(Hanoi University of Business and Technology : HUBT)(Hanoi、2018年10月10日)
  • ③ Dong A大学(University of Dong A)グローバル・セミナー「Disruptive Social Changes on a Blockchain」(Da Nang、2018年10月11日)
  • ④ ERIA(Economic Research Institute for ASEAN and East Asia)特別セミナー(Jakarta、2018年12月3日)
  • ⑤ ダルマプルサダ大学(Universitas Darma Persada)(Jakarta、2018年12月5日)
  • ⑥ テクニオン工科大学 (Technion Institute of Technology)(Haifa, Israel)、2018年12月13日)
  • ⑦ ボツワナ中小企業庁LEA(Local Enterprise Authority of Botswana)(Gaborone、2019年2月28日)
  • ⑧ SADC-dfrc(南部アフリカ開発共同体開発銀行協会)(Gaborone、2019年3月1日)
  • ⑨ エスワティニNIDCS(国立産業振興公社)(National Industrial Development Agency of Eswatini(Mbabane、2019年3月4日)
  • ⑩ エスワティニ経済計画発展省(Ministry of Economic Planning and Development, Government of Eswatini)(Mbabane、2019年3月4日)
  • ⑪ エスワティニ経済産業省(Ministry of Economy and Industry, Government of Eswatini(Mbabane、2019年3月4日)
  • ⑫ エスワティニ大学(University of Eswatini)(Mbabane、2019年3月4日)
  • ⑬ エスワティニ教育訓練省(Ministry of Education and Training)(Mbabane、2019年3月4日)
  • ⑭ Eswatini Centre for Financial Inclusion(Mbabane、2019年3月5日)
  • ⑮ Eswatini Royal Science and Technology Park(Mbabane、2019年3月5日)
  • ⑯ ハルツーム大学(University of Khartoum)(Khartoum、2019年3月9日)
  • ⑰ スーダン科学技術大学(Sudan University of Science and Technology)(Khartoum、2019年3月12日)
  • ⑱ Ribat大学(Khartoum、2019年3月12日)
  • ⑲ Ton Duc Thang大学(HCMC、2019年3月21日)
  • ⑳ Dong A大学(Da Nang、2019年3月26日)
  • ㉑ ハノイ経営工科大学(Hanoi University of Business and Technology)(Hanoi、2019年3月29日)
  • ㉒ タジキスタン工科大学(Tajik Technical University)(Dushanbe、2019年5月24日)
  • ㉓ FIFTYFIVEGROUP及びJICAタジキスタン事務所とのタジキスタン起業家向け共催セミナー(Dushanbe,2019年5月24日)
  • ㉔ EBRDタジキスタン事務所(Dushanbe、2019年5月27日)
  • ㉕ マイクロ・ファイナンスHumo(Dushanbe、2019年5月27日)
  • ㉖ タジキスタン国家投資資産管理委員会(State Committee on Investme1nt and State Property Management)(Dushanbe、2019年5月28日)
  • ㉗ EBRDタシケント事務所(Tashkent、2019年6月3日)
  • ㉘ タシケント情報技術大学(Tashkent University of Information Technology)(Tashkent、2019年6月4日)
  • ㉙ ラオス商工省主催ラオスICT/ブロックチェイン・セミナー(Vientianne、2019年6月13日)
  • ㉚ キルギス大統領府主催キルギス産業円卓会議特別講演(Special Lecture at High-Level Industrial Round Table sponsored by President Secretariat of Republic of Kyrgyz)(Isik-Kul, Kyrgyz)、2019年9月20日)
  • ㉛ Karakol 投資委員会(Investment Council of Karakol)(Karakol(Kyrgyz)、2019年9月22日)
  • ㉜ イシククル開発基金(Yssyk-Kol Development Fund)(Karakol(Kyrgyz)、2019年9月23日)
  • ㉜ JICA共催セミナー(Bishkek、2019年9月24日)
  • ㉝ キルギス国立工科大学(Kyrgyz State Technical University)(Bishkek、2019年9月24日)
  • ㉞ Business Association JIA事務局(ビシュケク、2019年9月25日)
  • ㉟ キルギス投資庁(Investment Promotion and Protection Agency of the Kyrgyz Republic)(Bishkek、2019年9月25日)
  • ㊱ キルギス銀行協会(The Union of Banks of Kyrgyzstan)(Bishkek、2019年9月25日)
  • ㊲ Business Association JIAオシュ(Osh)事務所(Osh(Kyrgyz)、2019年9月26日)
  • ㊳ オシュ(Osh)州政府産業振興局長(Osh(Kyrgyz)、2019年9月26日)
  • ㊴ キルギス教育科学省(The Ministry of Education and Science of Kyrgyz Republic)(Taalaibek Cholponkulov初等職業教育庁長官(Director-General of Primary Education Agency)(Bishkek、2019年9月27日)
  • ㊵ EBRD(European Bank for Reconstruction and Development)Neil McCainキルギス事務所(Bishkek、2019年9月27日)
  • ㊶ Kyrgyz Software and Services Developers Association(Bishkek、2019年9月30日)
  • ㊷ International Business Council事務局(Bishkek、2019年9月30日)
  • ㊸ ADBキルギス事務所(Bishkek、2019年10月1日)
  • ㊹ Association of Micro Finance Institutions Kyrgyzstan事務局(Bishkek、2019年10月1日)
2019年度においては、発展途上国を対象とした情報社会建設(Informatized Society Building)の方途を直截に検討することとし、統一テーマを「An Advanced Methodology of Informatized Society Building」に設定し、以下で共催セミナー等を実施しました。
  • ① ダルマプルサダ大学(Universitas Darma Persada)(Jakarta、2019年12月2日)
  • ② ラオス首相府経済研究所(National Institute for Economic Research)(Vientiane、2019年12月9日)
  • ③ カンボジア工科大学(Institute of Technology, Cambodia:ITC)(Phnom Penh、2020年1月14日)
  • ④ キリロム工科大学(Kirirom Institute of Technology :KIT)(Kirirom、2020年1月15~16日)
  • ⑤ カンボジア首相府H.E. Son Koun Thor首相府大臣(Minister Attached to the Prime Minister)との協議(Phnom Penh、2020年1月17日)
  • ⑥ タシケント情報工科大学(Tashkent University of Information Technology)(Tashkent、2020年2月25日)
  • ⑦ VJCC(Vietnam-Japan Human Resources Cooperation Center)ハノイ事務所(Hanoi、2020年3月5日)
  • ⑧ ハノイ経営工科大学(Hanoi University of Business and Technology)INBUS(The Institute of Business Studies and Development)(Hanoi、2020年3月6日)
  • ⑨ Dong A大学(Da Nang、2020年3月11日)

これらの協働研究、共催セミナー等の結果、ERISEとアジア/アフリカの協働研究者は、今日の発展途上国における情報社会構築(Informatized Society Building)の推進において依拠すべきアカデミックな方法論を、「情報社会構築学(Studies of Informatized Society Building)として確立すべきだという点で合意し、2020年度に、Global Association of Informatized Society Building Researchers(世界情報社会構築学研究者協会)をERISE内に設置することとなりました。なお、この協会は、Global Society of Studies of Informatized Society Building(世界情報社会構築学会)の事務局)をも兼ねることとし、会長には、ERISE所長の前田充浩(Prof. Mitsuhiro Maeda)が就任しました。

3.基本的な枠組み

情報社会構築学(Studies of Informatized Society Building)の方法論は明確です。
基本的に、情報社会学(Info-socionomics)の中の近代化論(Modernization Theory)に立脚します。
勿論、情報社会学(Info-socionomics)においても情報社会構築(Informatized Society Building)は重要な研究テーマです。それに対して情報社会構築学(Studies of Informatized Society Building)は、以下の2点に大きな特徴を持ちます。
第1は、研究対象を発展途上国「のみ」に限定していることです。
日本を始めとする先進国における情報社会構築(Informatized Society Building)については、情報社会学(Info-socionomics)を始めとして多くの研究が成果を上げているところです。一方で、既に述べたように、発展途上国における情報社会構築(Informatized Society Building)は、先進国では見られない、特殊な、かつ大変に困難な課題に多く直面することになります。
情報社会構築学(Studies of Informatized Society Building)は、この課題に応えることを責務としております。
第2は、通常の社会科学のように分析(analysis)を中心とした取り組みよりも、政策提言に重点を置くことです。すなわち、各発展途上国の政策担当者が、実際の政策立案において依拠することのできるような理論、モデルを提示することを責務としております。

4.当面の研究の枠組み

発展途上国、と一口に言っても、その国情、社会の態様等には大きな違いがあるため、一つのモデルで全ての発展途上国における課題に対応することは不可能です。
上記、アジア/アフリカの協働研究者との協働研究、共催セミナー等の成果を踏まえ、当面は、以下の4つの方向性での研究を進めることとしております。

1 産業化(Industrialization)/情報化(Informatization)モデル

産業化(Industrialization)が相当進んだ発展途上国を対象に、基本的に先進国で採用されている、産業化(Industrialization)と連続する近代化(Modernization)プロセスとして情報社会構築(Informatized Society Building)を推進するモデルを構築する研究です。

2 Leap Frogモデル

産業化(Industrialization)の進捗が思わしくない発展途上国を対象に、国家の重要な資源を産業化(Industrialization)に投じることなく、最初から一気に情報社会構築(Informatized Society Building)を進めるモデルを構築する研究です。産業化(Industrialization)を跳ばすことから、「Leap Frog」と呼びます。

3 国家化(Nation States Building)/情報化(Informatization)モデル

発展途上国の中には、Failed Statesに典型的なように、これから国家化(Nation States Building)を短期間に推進しなければならないところがあります。そのような発展途上国において、最初から情報社会(Informatized Society)として国家化(Nation States Building)を推進するモデルを構築する研究です。

4 超国家化(Integrated States Building)/情報化(Informatization)モデル

情報社会学(Info-socionomics)近代化論(Modernization Theory)によれば、21世紀は、従来の国民国家(Nation States)に代わる、超国家(Integrated States)が登場する時代とされ、既に幾つかの地域機構はその実態を備えつつあります。情報化(Informatization)の進展により、そのような地域機構が真に超国家(Integrated States)としての機能を果たせるようになるためのモデルを構築する研究です。


主宰者:前田 充浩

主宰者プロフィール:

東京大学法学部卒業後、行政官と研究者の「回転ドア」のキャリアを歩む。
行政官として、内閣安全保障室主査、在タイ国日本国大使館一等書記官、経済産業省大臣官房企画官(国際金融担当)、経済産業省資金協力課長等を歴任。研究者として、埼玉大学大学院政策科学研究科助教授、政策研究大学院大学客員教授等を歴任。この間、英国王立国際問題研究所(チャタムハウス)、ジョンズホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)、ケンブリッジ大学でそれぞれ客員研究員。2011年より産業技術大学院大学教授。